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膵臓がんとは

膵臓がんは非常に死亡率の高いがんです。患者数と死亡者数がほぼ同じとまで言われる死亡率をほこり、がんの王様と言う異名まであります。

膵臓は胃の後ろにあり、長さ20cmほどの細長い臓器です。ふくらんだ部分は頭部(とうぶ)といい、十二指腸(じゅうにしちょう)に囲まれています。反対側の幅が狭くなっている端は尾部(びぶ)といい、脾臓(ひぞう)に接しています。膵臓の真ん中は体部(たいぶ)と呼ばれます。 引用元:http://ganjoho.jp

膵臓は、膵液を分泌して食べ物の消化を助けるだけでなく、体内の糖分のバランスを整える働きもしています。

また、脂肪をブドウ糖に変換したり、逆にブドウ糖を脂肪として身体に蓄え、万一のときのエネルギーとすると言った働きをする、非常に大切な臓器です。膵臓に異常があると、体内の糖分バランスが崩れ、糖尿病などになってしまいます。膵臓は胃の後ろ側にあるせいもあって、検査によっては異常に気づきにくく、異常があっても手術をするのが困難ということ事情があります。

診断も治療も難しいため、膵臓がんを発見しても手遅れになるケースが多いのが特徴です。日本では毎年3万人を超える人が膵臓がんで亡くなっており、「ステージ㈵」という初期の状態の膵臓がんを発見した場合でも、5年後の生存率は60%を切っています。

膵臓がんの原因

膵臓がんの原因は、喫煙や食生活にあるとされています。特に喫煙や過度の飲酒は確固たる危険要因であるとされています。喫煙や過度の飲酒によって、2倍から10倍以上に発症率が高くなるというデータもあるので、これらの行為は慎まなければなりません。

また、糖尿病患者の場合、膵臓がんになるリスクが約2倍になると言われています。日本では膵臓がん患者が増加していますが、その原因を食の欧米化等の生活習慣にあるとする研究もあります。膵臓がんは生活習慣病の延長線上にあるとも言え、生活習慣の改善で罹患のリスクを少なくできる可能性は高いと言えます。

それに加えて、家族や親族に膵臓がん患者がいる場合は、罹患のリスクが高まる傾向があるというレポートもあり、膵臓がんには遺伝が関係しているとも言われています。遺伝性の膵臓がんは生活習慣などに起因する膵臓がんよりも数は少ないと言われていますが、がん患者が多い家系の人は特に気をつけた方がいいでしょう。

膵臓がんの症状

早期の膵臓がんには特徴的な症状はありません。そのため、発見が遅れてしまう傾向があります。膵臓がんの患者さんは、手遅れになってから病院にかかるケースが多いのです。「なんとなく具合が悪い」程度の認識で病院に行き、突然膵臓がんが判明するケースもままあります。こういった「なんとなく具合が悪い」状態の人が病院に行くきっかけとなる症状は

  • 胃のあたりが重い

  • 背中やみぞおち辺りが重い感じがする

  • 食欲がない

  • 慢性的に倦怠感がある

  • 特に理由もなく体重が落ちた

などと言った、ともすれば別の病気でもよくある症状であることが多いのです。また、がんになった膵臓に負担をかけた結果として症状が大きくなり、病院に駆け込むケースも多くみられます。主なパターンとして、以下のものが挙げられます。

  • 高熱が続く

  • 目や皮膚に黄疸が出る

  • 身体が慢性的に痛くなる

黄疸が出たからといって肝炎や胆石と思い込んでしまったり、これらの症状が数日のうちに収まったりすることもあります。このため発見が遅れ、手の施しようがなくなる例が後を絶たないのです。

膵臓がんの末期症状とは

初期症状が少ない膵臓がんとは言え、末期ともなると様々な症状が現れます。有名なのは急激な体重の減少です。長期に渡って定期的に体重が減り続けます。体重が減り続けるのが不安で受信し、膵臓がんが発覚するケースもあります。

不意に意識を失うことも、末期の膵臓がんの症状の1つです。血糖値をコントロールする膵臓が、その機能を果たせなくなったせいで低血糖状態になり、いきなり意識を失ってしまうのです。倒れる際に頭などを強く打ってしまうこともあり、油断のできない症状と言えます。

末期症状の中で顕著なのは便の変化で、異常な臭いの便を排出したり、ひどい下痢が長く続いたり、白っぽい色の便が出たりします。

さらに、身体のひどい痛みも末期症状の1つとして挙げられます。背中から腰の辺りにかけて痛くなることが多く、鎮痛剤を飲んで闘病する患者さんが多いです。なお、末期状態の患者さんがよく口にする症状は「身体の痛み」「急な体重の減少」「食欲不振」であるとされており、よく自覚する症状として認知されています。

膵臓がん末期の治療法、緩和ケア

膵臓がんの治療法として、まず検討に挙がるのが手術です。しかし、膵臓がんの多くは発見時には手遅れであり、膵臓がん患者のうち、手術を行うことができる患者は30%程であるとも言われています。

薬による治療も行われており、この場合は入院しなくても外来で治療ができるとされています。膵臓がんは抗がん剤が効きにくいとされてきましたが、新薬の開発により生存率が上がってきているとされています。

その他、放射線でがん細胞を殺す放射線療法や、薬の力で人間の免疫力を活性化させてがん細胞をやっつけるといった免疫療法が存在します。また、膵臓がんの完治自体を目的としない治療もあります。モルヒネなどを使って膵臓がんの苦痛を取り除く治療です。この時、膵臓がん自体には手をつけません。

身体に負担のかかる手術や、副作用の危険もある抗がん剤による苦しい治療をするのではなく、残された人生を痛みなく全うできるようにしようとする緩和ケアです。緩和ケアは身体の痛みを取り除くものだけではありません。臨床心理士等のカウンセリングや抗うつ剤の投与などを通して心の痛みを取り除く治療も存在します。いずれの治療法を選択するにせよ、膵臓がんの種類やステージによってしっかりと検討することが大切です。

膵臓がんの生存率

膵臓がんの5年生存率はかなり低いとされています。膵臓がんには初期症状がなく、発見された時にはほとんどが末期状態のためです。どのかんでも、末期段階では生存率が初期段階と比べて圧倒的に少なくなってしまいますが、その中でも特に生存率が低いのが膵臓がんとなっています。

どんな人がなりやすい?

家族

多くのがんは遺伝とは関係なく発症しますが、中には親から子へ遺伝するもの(遺伝性がん)もあります。詳しい調査の結果、5~10%の膵臓がんは遺伝によって発症することが明らかとなり、これを「家族性膵がん」といいます。

家族性膵がんの厳密な定義は、「親子または兄弟姉妹に2人以上の膵臓がん患者さんのいる家系の方に発症する膵臓がん」とされています。 アメリカからの報告によると、親子兄弟に膵臓がんの患者さんが2人いる場合にはリスクが6倍、3人いる場合にはなんと30倍以上にもなるとのことです。

親や兄弟姉妹に膵臓がんの人が2人以上いる場合には、ぜひ検査を受けることをおすすめします。なお、日本でも膵臓がんの家族歴の重要性が認識され、日本膵臓学会による家族性膵がん登録制度が開始となっています。

引用元:https://www.ishamachi.com

合併疾患

糖尿病

糖尿病の患者さんは、膵臓がんを発症するリスクが約2倍になるといわれています。その理由として、膵臓がんの発症に糖尿病の患者さんでみられる高インスリン血症が関係しているとの報告があります。

また、肥満(体格指数(BMI:ボディマスインデックス)が30kg/m2以上)はそれ自体が膵臓がんの危険因子とされていますが、糖尿病における膵臓がんの発症リスクをさらに増加すると報告されています。

さらに、膵臓がんと診断された患者のうち、25~50%が診断後1~3年以内に糖尿病を発症していることがわかっています。したがって、今まで糖尿病など言われたことがなかった人が、いきなり糖尿病と診断された場合には特に注意が必要です。

慢性膵炎

慢性膵炎の患者さんの膵臓がん発生率は一般人口に比べて13倍も高いといわれています。したがって、慢性膵炎と診断された方は、症状が安定していても定期的な膵臓がんのチェックを受けたほうがよいでしょう。また、比較的まれですが、若い人に発症する遺伝性膵炎も膵臓がんの危険因子として知られています。

膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)膵のうほう

膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)とは、膵臓にできるのうほう性(ふくろ状)の腫瘍の一つで、良性から悪性まで幅広い腫瘍です。CTなどの検査ではぶどうの房のようにみえるのが特徴で、内部にねばねばとした液体(粘液)を含んでいます。膵管内乳頭粘液性腫瘍および膵のうほうは、膵臓がんの前がん病変として慎重な経過観察がすすめられています。

例えば膵管内乳頭粘液性腫瘍の約20~30%では、それ自体がゆっくりとがんに進行することがあり、また5~10%では膵管内乳頭粘液性腫瘍とは別の場所に膵臓がんが合併することがあります。さらに、膵管内乳頭粘液性腫瘍と診断されない膵のうほうについても、膵臓がんの高リスク群として慎重な経過観察が必要だといわれています。検診の超音波(エコー)検査などで膵臓にのうほう(ふくろ状の病変)があると言われた場合、定期的(半年から1年に1回程度)に膵臓がんの検査を受けることをおすすめします。

嗜好

喫煙

喫煙は、肺がんをはじめいろいろながんの危険因子として知られていますが、喫煙が膵臓がんのリスクを増加させることも分かっています。喫煙による膵臓がんの発症リスクの増加は、吸わない人に比べて2~4倍といわれています。また、禁煙後10年以上たっても膵臓がん発症のリスクは高いため、注意が必要です。

アルコール

1日3ドリンク(純アルコール量30g=焼酎(度数25%)コップ1杯程度)以上摂取するアルコールの多量飲酒者では、膵臓がんのリスクが1.2倍増加したという報告があり、相関はあまり強くはありませんが大量飲酒は膵臓がんの危険因子であると考えられます。

引用元:https://www.ishamachi.com