注意:この記事は医師による監修を受けておりません。ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用ください。

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痛風とは?

痛風とは親指付け根の関節に激痛があり、赤くはれ上がって激しい関節炎を伴う病気です。医学的な研究が進み、治療薬も開発されましたので根治できる病気です。しかし、放置すると激しい関節の痛みを繰り返したり、体中に結節ができたり、腎臓を悪化させてしまう重大な病気でもあります。原因は尿酸の結晶が関節に析出するためです。

そもそも、私たちの体のなかの尿酸は、産生と排泄のバランスにより一定に保たれています。そのバランスが崩れて、尿酸値の高い状態(高尿酸血症)が続くと、血液に溶けきれなくなった尿酸が結晶化し、最も冷えやすい足の親指の付け根の部分から析出し始めます。痛風は圧倒的に男性に多い病気で、患者の98.5%が男性で、女性はわずか1.5%という調査結果があります。女性ホルモンは尿酸の排出を促進する働きがあり、女性は男性に比べて尿酸値が低く保たれるため、痛風になりにくいのです。女性も女性ホルモンが少なくなると、痛風に対する注意が必要です。

痛風の症状とは?

ある日突然、明け方に突然の激痛。骨折?と勘違いしてしまうほどの痛みを伴って、足の親ゆびの付け根などが赤く腫れあがります。耐えがたい痛みですが、一度に1か所だけ、痛くなることが多く、治療をしなくても7〜10日経つと次第におさまって、しばらくすると全く症状がなくなります。

痛みがおさまっても、高尿酸血症は治ったわけではなく、尿酸の結晶は、関節に蓄積されて行きます。治療を始めなければ、多くの場合1年以内に痛風の激痛が再び起こります。そして繰り返しているうちに、足首や膝の関節まで腫れはじめ、次第にその間隔も短くなっていきます。慢性化すると、関節の痛みだけでなく、関節の軟骨が傷んで骨に欠損が生じたり、関節の周りや皮膚の下に結節ができ(痛風結節)、関節の変形や機能障害が生じることになってしまいます。尿酸の結晶が腎臓にたまって腎臓が悪くなったり(慢性腎臓病)、尿路結石ができてしまいます。最終的に重篤になる可能性が高いので放置するのは危険です。

痛風の原因

痛風が日本に現れるのは明治になってからで、1960年代になって急激に増加しました。現在は全国に数十万人の痛風患者がいると推定されています。痛風が増加した背景には食生活が変化し、動物性蛋白質の摂取量が増えたこと、飲酒量の増加、社会構造の変化が影響していると考えられます。

尿酸値の高い人は太っていることが多く、肥満を解消すると尿酸値は下がります。食物の制限は特になく、総カロリー量に留意して、食事の量を減らし、よく歩き、標準体重を守ることが大切です。また、アルコールには尿酸の産生を増やし、排泄を低下させる働きがあります。お酒は飲み過ぎないように適量を守ることが必要です。

運動などで大量の汗をかくと、体内の水分量が減るため尿酸値が上がります。こまめに水分を補給することが大切です。清涼飲料は糖分を含んでいますので注意が必要です。尿酸値の高い人が急激に激しい運動を行うと逆効果になってしまいますが、ウォーキングなどの有酸素運動を継続的に行うことは肥満解消に最適です。さらに、ストレスがかかると尿酸値が上がり、痛風の発作が起こりやすくなるといわれていますから、ストレスの発散も大切です。

痛風の初期症状

尿酸の結晶は体のいたるところに析出しますが、最も析出しやすい場所が関節です。特に血液の流れが弱く、冷えやすい足の親指の付け根は蓄積しやすく、最初の発作のほとんどがこの付近で起こります。

痛風の発作はある日突然に始まりますが、夜中から朝方にかけて起こりやすく、足の親指のつけ根の関節(発症頻度の7割がこの関節)に猛烈な痛みがあり、関節が赤く腫れあがります。症状が出始めてから1日以内にピ−クに達します。一度に1ヵ所だけの関節に症状があり、かかと、足の甲、くるぶし、足の関節、ひざ、アキレス腱などの下肢で多く発症し、膝から下だけで全体の9割を占めています。場合によってはひじ、手首、指の関節に発症することがあります。一方で、股関節や肩関節など体の内部にある関節は起こりません。ただし、自己診断するのは危険で、専門知識を持った医師の診察が必要です。最終的な痛風の診断は、足の関節などに尿酸の結晶が析出しているかどうかで確定します。

痛風の治療方法

生活習慣を見直しても尿酸値が下がらない場合や、既に痛風発作を起こしたことがある場合、腎障害、尿路結石、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病などの合併症がある場合は尿酸降下薬によって尿酸値を下げる治療が行われます。

尿酸降下薬には、尿酸の排泄を促す尿酸排泄促進薬と尿酸の生成を抑える尿酸生成抑制薬があります。尿酸排泄促進薬にはベンズブロマロンやプロベネシドなどがあり、尿酸生成抑制薬にはアロプリノールやフェブキソスタットがあります。尿酸値を急に下げると、それまで関節に析出していた尿酸の結晶が一挙に溶けだし、痛風発作が起こることがありますので、高尿酸血症の治療は医師の指示に従って、徐々に尿酸値を下げていくことが基本です。尿酸降下薬はまず少量を服用し、3〜6ヵ月かけて徐々に尿酸値を下げてから、薬の量を決めます。

また、尿酸値が下がったからといって、すぐに薬をやめてはいけません。薬を飲み続け、尿酸値が低い状態を維持することが大切です。尿酸降下薬を飲んでいる時も、生活習慣の改善し、尿酸値を低下させる努力をしましょう。