注意:この記事は医師による監修を受けておりません。ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用ください。

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とびひとは?

とびひとは正式には伝染性膿痂疹といいます。細菌が感染して発症する皮膚の感染症で、非常に感染力の強い病気です。その広がりの早さが火事の飛び火のようなので、とびひとう俗称がつきました。また、水泡を潰すことによって身体全体にも飛び火のような早さで感染していきます。

とびひには2種類の病態があります。水疱性膿痂疹と痂皮性膿痂疹です。

水疱性膿痂疹は0〜6歳の乳幼児に多く発症し、夏季に最も流行します。原因となる細菌は黄色ブドウ球菌です。皮膚に細菌を含んだ水泡を形成し、これをかきむしったりして壊すと皮膚の他の部位や周囲に感染します。細菌が原因で起こる皮膚の病気のなかでは最も多い病気です。

痂皮性膿痂疹は膿疱や厚いかさぶたができる病気で、頻度は水疱性膿痂疹より少ないです。原因となる細菌は連鎖球菌です。水疱性膿痂疹とは違って季節や年齢に関係なく発症します。しかし、アトピー性皮膚炎に罹患しているかたは発症しやすいです。

とびひには種類がある!

とびひには水疱性膿痂疹と痂皮性膿痂疹があります。症状が異なるため、それぞれについて解説していきます。

水疱性膿痂疹は皮膚に水泡を形成し、水泡の中には原因菌である黄色ブドウ球菌の毒素が含まれています。そのため、皮膚が炎症して赤く腫れることがあります。水泡が破れると皮膚がめくれてただれます。かゆみを伴うことが多く、掻きむしって水泡り、中の液が皮膚につくとそこに伝染していきます。目・鼻・口から症状がではじめることが多く、そこから全身に広がっていきます。

痂皮性膿痂疹は痛みを伴うことが多いです。皮膚が赤く腫れ、そこに小さな膿疱を生じ、さらに厚いかさぶたができます。炎症を起こしやすく、リンパ節の腫脹や発熱、のどの痛みを伴うこともあります。重症化すると細菌の毒素によって全身が真っ赤になってしまうこともあります。合併症として蛋白尿や血尿がでる糸球体腎炎を併発することもあります。糸球体腎炎は腎障害を引き起こすため、抗生物質での早めの治療を行います。

とびひの原因とは?

とびひの原因を水疱性膿痂疹と痂皮性膿痂疹それぞれについて解説します。どちらも細菌の感染が主な原因です。

水疱性膿痂疹の原因は黄色ブドウ球菌です。黄色ブドウ球菌は健康な人の皮膚の表面や鼻の中にいる常在菌ですが、そのままでは感染しません。引っ掻いたり怪我をしたりして皮膚に傷ができると、そこから黄色ブドウ球菌が体内に侵入して増殖します。増殖するときに表皮剥脱毒素という毒素を産生し、これが表皮の細胞と細胞をつなぐタンパクを切断するため水泡が形成されます。毒素が炎症を引き起こすため、水泡のまわりが痒くなったり赤く腫れたりします。水泡を潰して中の液がついた状態で他の皮膚の部位に触ると、そこからまた黄色ブドウ球菌が侵入して範囲が広がっていきます。

痂皮性膿痂疹の原因はA群β溶血性連鎖球菌、すなわち溶連菌です。健康な人の皮膚の表面や鼻の中にいる常在菌です。傷口から皮膚に侵入すると発症してとびひの原因となります。

とびひの治療方法は?

とびひの治療は主に薬が中心となります。使われる薬についてご紹介します。

菌を退治する薬

塗り薬または飲み薬が使用されます。抗菌薬で、とびひの原因である黄色ブドウ球菌または連鎖球菌を退治するための薬です。水疱性膿痂疹では黄色ブドウ球菌の抗菌薬を3〜4日ほど内服します。痂皮性膿痂疹ではペニシリン系の薬を内服します。糸球体腎炎の合併を予防するため、症状が改善してもさらに10日間は内服を続けるようにしましょう。

症状を抑える薬

とびひによるかゆみや炎症などの症状を抑えるために薬が使われます。かゆみを抑える場合は抗ヒスタミンの塗り薬や抗アレルギーの飲み薬が使用されます。炎症を抑える場合は亜鉛華軟膏を使用します。

具体的な方法は、

1.水泡内の液を抜く

2.抗生剤の軟膏を塗る

3.その上に抗炎症と保護のために亜鉛華軟膏を塗る

皮膚症状が落ち着くまで、この軟膏療法を繰り返します。その際、脱落した皮膚や分泌物はよく洗い流してから薬を塗るようにしましょう。

とびひを予防するには?

とびひを予防するために日頃から気をつけることをいくつかご紹介します。

皮膚を清潔に保つ

汚れたり、細菌が付着した恐れがある場合は石鹸でよく手を洗いましょう。その際、爪の中までしっかりと洗うことが重要です。また、皮膚に傷を作らないためにも日頃からこまめに爪切りをし、爪を短くしておきましょう。大切なのは細菌を付着させないことと、細菌が侵入する経路を作らないことです。

鼻の中を触らない

鼻の中にはとびひの原因となる黄色ブドウ球菌や連鎖球菌が数多く存在します。鼻の中を触ると菌が付着し、その手で皮膚を触ることで細菌が侵入します。注意しましょう。

スキンケアを心がける

皮膚のバリア機能が低下するととびひに感染しやすくなります。日頃からスキンケアを行い、バリア機能を正常に保ちましょう。

具体的な方法としては、

・毎日身体を洗って皮膚を清潔に保つ

・しっかりと保湿をする

・傷ができたら保護する

といったことが挙げられます。

毎日の心がけで、とびひを予防することができます。