注意:この記事は医師による監修を受けておりません。ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用ください。

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中耳炎とは?

中耳炎とは、耳の中耳と呼ばれる部分に炎症が起こる症状のことです。耳は外側から順番に音を集める役割を担う「外耳」、鼓膜が受けた震動を内耳に伝える役割を担う「中耳」、そして聴覚や平衡感覚をつかさどる「内耳」という3種類の部分に分かれています。 また、中耳炎には主に「急性中耳炎」と「滲出性中耳炎」の2種類があり、「急性中耳炎」は風邪をひいた時などに、鼻や喉の奥から耳管を通って中耳に細菌やウイルスが侵入することなどが原因で中耳炎を発症します。そして「滲出性中耳炎」とは、軽度の炎症が原因で中耳腔の中に発生する「滲出液」という炎症性の水が溜まることが原因で発症する症状です。

そして、「急性中耳炎」の場合は発症すると耳の痛みや耳垂れ(耳から膿などが出てくる症状)、発熱などの症状が起きますが、大人と子供では耳の構造が異なるため中耳炎を発症した場合に起こる症状に違いがあります。また、「滲出性中耳炎」を発症すると「難聴」の症状が現れて耳が聞こえにくくなります。しかし、「急性中耳炎」の場合のように耳の痛みや発熱などを伴わないため、発症後も気づかずに放置しやすい病気なので注意が必要です。

大人も中耳炎になる!?

大人と子供では耳の構造が異なるため、大人は子供ほど中耳炎を発症する可能性が高くはありません。しかし、大人が中耳炎を発症すると子供の中耳炎よりも重い症状が現れる場合があります。大人は子供よりも耳が大きく、「急性中耳炎」を発症すると中耳に子供よりも多くの膿が溜まります。そのため、子供が「急性中耳炎」を発症した場合よりも強く鼓膜を圧迫されるため、耳に感じる痛みも子供が発症した場合よりも強いものになります。また、主に片方の耳が聞こえにくくなり、その症状が数週間も続きます。

そして「滲出性中耳炎」を発症すると音が聞こにくくなったり、耳栓をしている時のように耳が詰まっているような感覚が現れます。また、自分が発する声が耳の中で響いたり、欠伸をした際に耳に水が入り込んだ時のような異音が聞こえる場合があります。これら2種類の中耳炎は悪化すると、目まいや聴力の低下、顔面神経麻痺などの重い症状に繋がり、手術が必要になる可能性があります。そのため、症状に気付いたらすぐに耳鼻科(耳鼻咽喉科)を受診することが大切です。

中耳炎の症状

主に中耳炎は子供に多く見られる症状です。およそ8割の人間が生後3歳までに1度は罹患するといわれています(『小児急性中耳炎診療ガイドライン 2013』参照)。そのため子供の方が大人よりも中耳炎を発症しやすく、発症後は完治するまでに時間がかかり、さらに治った後に症状が再発しやすいという特徴があります。風邪が原因で発症することが多く、主にインフルエンザ菌や肺炎球菌などが原因だといわれています。

そして、「急性中耳炎」を発症すると耳の痛みや耳垂れ、発熱などの症状が現れます。また、難聴を発症したり、耳が詰まっているような違和感を感じる場合もあります。しかし、分かりやすい症状が起こらない場合は病気に気付くことが遅れて、症状が悪化する場合があります。とくに「滲出性中耳炎」の場合は耳の痛みや発熱や耳垂れといった分かりやすい症状がなく、子供もすこし耳が聞こえにくいと感じるだけで身体の異変を申告しない場合があるため注意が必要です。こうしたケースでは、子供が耳を触る回数が増えたり、親が呼びかけても返事をしない場合が増えるため、異状を察知したら子供に耳鼻科の診察を受けさせましょう。

また、赤ちゃんの場合はどんな症状が発生しても自分で伝えることが出来ません。そのため、普段よりもむずがったり急に泣き出す回数が多かったり、耳に頻繁に触るなどの異状を察知したら病院の診察を受けさせることが大切です。そして中耳炎の治療を行うのは耳鼻科ですが、赤ちゃんの異状の原因が本当に中耳炎なのか分からない場合は他の原因も考えられるため、まずは小児科へ行きましょう。

放置すると大変なことになる!

中耳炎は放置すると症状が悪化して聴力の低下や顔面麻痺などの深刻な症状に繋がる可能性があるため、気付いたらすぐに耳鼻科を受診して治療を行うことが大切です。耳鼻科で中耳炎を治療する場合、症状が軽い時は痛み止めで症状を緩和しながら自然治癒を待ちます。または、薬や吸引器などを使用してのどの炎症を緩和したり鼻水を除去します。

しかし、中耳炎の症状が重くて自然回復する様子が見られない場合には、中耳炎の原因である細菌を除去するために抗生物質を投与します。そして「滲出性中耳炎」を治療する方法の一つが「耳管通気法」です。耳管咽頭口から耳管に空気を送ることで耳管を広げて、中耳に溜まっている滲出液の排出を促進します。さらに「鼓膜切開」では鼓膜を切開して小さな穴を開けることで滲出液や膿などを吸い出します。通常、開いたな穴は2〜3日ほどえ自然に閉鎖します。また、「鼓膜切開」を何度も行う場合は、開けた穴が閉じないようにチューブをはめ込み、空気の出入りをスムーズにすることで浸出液などが溜まらないようにします。この治療方法を「チューブ留置術」といいます。

また、夜に症状が現れたり、変えられないスケジュールの都合などですぐには受診できない場合は、自宅で対処することが大切です。炎症を抑えるために耳の周辺を冷やしたり、鼻をかんで鼻づまりを解消することが効果的です。また、耳垂れが起きた場合は耳の内部には触れると膿などが中耳に逆流する可能性があるため、外側の汁だけを拭き取るようにしましょう。そして「急性中耳炎」による耳の痛みが強い場合は、起立したり上半身を起こした状態で座ることで鼻の通りが良くなり耳管から膿が排出されるため、耳の痛みが緩和されて楽になります。

中耳炎の予防方法

中耳炎を予防する上で大切なことは、風邪をひいた際に鼻をかんで鼻づまりを解消することです。風邪をひくと大量の鼻水が出ますが、鼻水の中には多くの細菌やウイルスなどが含まれている場合があります。とくに黄色や緑色などの鼻水には中耳炎の原因菌が多く含まれているため、しっかり排出しないとこれらが耳管を通って耳に侵入して、炎症を起こすことが原因で中耳炎を発症します。そして鼻をかむ時には、両方の鼻の穴ではなくて片方ずつ鼻をかんでしっかりと鼻水を排出することが大切です。また、自分で鼻をかむことのできない乳幼児の場合は、鼻水吸引器を使用して鼻水を吸い出しましょう。

そして、常に耳の中を清潔な状態に保っておくことでも中耳炎を予防できます。そのため、定期的に耳掃除を行ったり、お風呂やプールなどで耳の中に水が入った場合はしっかりと排出することが大切です。さらに、生活習慣の乱れやストレスなどが中耳炎を引き起こす原因になる場合もあるため、規則正しい生活を送るように心がけたり、趣味を持ったり適度な運動を行うことでストレスを発散することなども大切です。また、中耳炎の原因菌の一つである「肺炎球菌」のワクチンを打つことでも、中耳炎を予防する効果が期待できます。