注意:この記事は医師による監修を受けておりません。ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用ください。

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過呼吸症候群とは

生きていくうえで、呼吸は欠かせないものです。だからといって多ければ良いというものでもありません。呼吸が多くなりすぎると、血液中の二酸化炭素の量が低下します。そして血液がアルカリ性に傾き、脳の血流が低下してしまうのです。呼吸は、運動をした時など酸素が足りない状態になったときに早くなります。これは普通の反応なので問題ありません。しかし、不安を感じたときなどにも呼吸が早くなることがあり、この場合実際には酸素は足りているため、酸素が余ってしまいます。これにより不安感が強くなり、混乱する、呼吸が苦しくなる、指先や口の周りが痺れたようになる、めまいやふらつき、筋肉のこわばり、目のかすみなどの症状が出ることがあります。これを「過呼吸症候群」と呼んでいます。

「脳の血流が低下するなんて怖い」と感じた人もいるかもしれませんね。しかし過呼吸症候群は、決して命の危険があるような病気ではありません。正しい対処をすることで、もとの状態に戻りますし、過呼吸が繰り返し起こる場合でも、原因に応じた治療を行うことで、多くの場合症状は軽減します。

過呼吸の原因

過呼吸症候群になる原因としてまずあげられるのが、ストレスや不安感です。不安やストレスなどの心の状態は、自律神経神経に大きな影響を与えます。リラックスしているときは副交感神経が優位に働き、呼吸は深くゆっくりになります。しかし不安を感じると交感神経が優位に働き呼吸は早く浅くなるのです。先ほどもお伝えしたように、酸素が不足していないのにも関わらず呼吸が早くなると、酸素が余ってしまいます。

そのためストレスや不安が大きい状態が続くと過呼吸症候群を引き起こしやすくなるのです。普段特にストレスを感じていないという方でも、睡眠不足が続いたり、過労の状態だったり体調不良だったりするとストレスが溜まりやすくなり、それがきっかけで過呼吸を引き起こすこともあるため注意が必要です。 また突発的な出来事が過呼吸につながることもあります。例えば騒音や何かに驚いた時などです。このような突発的な出来事もストレスとなることがあります。

激しい運動がきっかけになる場合も

激しい運動が、過呼吸症候群の引き金になることもあります。激しい運動をすると酸素が足りなくなるため必然的に呼吸が早く浅くなります。

激しい運動は、過呼吸発作を引き起こす原因になる場合があります。その理由は、息があがり呼吸が浅くなってしまうからです。そういった呼吸を小刻みに行っていると、過呼吸発作につながる可能性があります。運動により異常に息が上がりすぎると過呼吸を引き起こすことがあるのです。

過呼吸の発作は一度起きると「また過呼吸になるかもしれない」と不安を覚えるようになります。たまたま激しい運動により、呼吸がうまくいかなくなり過呼吸になっただけのはずが、その1回がトラウマとなってしまい運動をするたび「また過呼吸になるのでは」と不安を覚えるようになります。そしてその不安から運動のたびに過呼吸を引き起こすようになることがあります。

運動のたびに過呼吸になるという方は、運動が直接の原因ではなく過呼吸になることへの不安が引き金となっている可能性が高いです。

過呼吸の対処法

過呼吸の対処法として、一般的に口元に紙袋をあてるペーパーバック法という方法が知られていますが、最近は症状を悪化させるとしてあまり取り入れられてはいません。自己判断で取り入れるのはやめたほうがいいかもしれませんね。

では、自分や周囲の人が過呼吸になったときはどう対処すると良いのでしょうか?

慌てない

過呼吸の発作が起こったときは、まずは落ち着くことが大切です。胸が苦しくなり、呼吸がしにくいことから、過呼吸になっている本人は、息苦しいと感じ、呼吸をしようと必死になってしまいます。しかし、実際は過呼吸は酸素の吸いすぎにより、血中の酸素と二酸化炭素のバランスが崩れて、極度に二酸化炭素の濃度が低下したことでおこります。そのため、不足しているのは二酸化炭素です。体はこの状況に対して、一旦呼吸を停止しようとしますが、意識では呼吸をしようと必死になってしまうことにより、ズレが生じます。それに加え、視野が狭まったり、頭痛、めまいなどが起きているため、パニックに陥りやすいです。

周りの人も、本人の苦しそうな状況に驚いてしまうかもしれませんが、慌てずに落ち着くことがまずは大切です。

呼吸を整える

息を吐き出す事に意識を集中させると少しずつ発作が治ります。また意識的に呼吸の数をコントロールするのも効果的です。時計を見ながら、1分間に10回の呼吸を目指します。3秒間で息を吐き3秒間で息を吸うと意識すると、1分間に10回の呼吸になります。息を吐いた後にしばらく呼吸を止めるのも効果的です。鼻で息をするようにするという方法もあります。鼻で息をすると、呼吸が早くなりにくく過呼吸の状態になりにくいためです。

しかし、過呼吸に陥ったことによりパニック状態になっている場合は、意識的に呼吸をコントロールすることは難しいことが多いです。この場合は救急車などで病院に向かいましょう。

治療法はあるの?

過呼吸症候群の治療法には、大きく分けると薬物療法と、精神療法の二つがあります。どちらの治療も、精神科や心療内科などで受けることができます。 薬物療法は、一般的にセロトニンをコントロールする作用のある薬が使われます。抗うつ薬などがこの薬にあたります。また自律神経をコントロールし不安を和らげる抗不安薬もよく使われます。精神療法には、認知行動療法がよく行われます。行動療法では、主に不安の対象に段階的に慣れていくアプローチがとられます。これにより、認知のくせを変えて不安が起こりにくいようにするのです。

自分で行える方法としては、規則正しい生活を送りなるべくストレスを避けることが有効です。先ほどもお伝えしたように、疲労や睡眠不足はストレスを溜める原因となります。またこれらは心身の回復力を奪い、さらに不安を感じやすい状態にしてしまいます。タバコやカフェイン、アルコールも過呼吸の引き金になることがあるのでほどほどにしておいたほうがよさそうです。