注意:この記事は医師による監修を受けておりません。ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用ください。

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低血圧症とは?

血圧とは、心臓から全身へ血液が送られる際の圧力の大きさを示す数値のことです。そして、血圧が正常値よりも低いことで、目眩や倦怠感、身体のふらつきなどの様々な症状を発症する状態を低血圧症と呼びます。WHO(世界保健機構)は「収縮期血圧」が100以下、「拡張期血圧」が60以下という数値を低血圧の基準にしています。低血圧を発症する原因の多くは遺伝や体質ですが、何らかの病気を患っていることが原因で低血症を発症する場合があります。また、普段は低血圧症を発症しない方でも、長時間座っていた後で急に立ち上がった場合などに低血圧症を発症する場合があります。

低血圧症を発症すると目眩や立ちくらみ、倦怠感などの様々な症状を発症しますが、その多くは食生活の改善や規則正しい生活を送るなどの対策によって症状を改善できます。しかし、こうした対策によって症状の改善が見られない場合は専門医のもとで薬物療法を行う必要があります。そして、何らかの病気が原因で低血圧症を発症している場合は、低血圧症よりも先に原因疾患の治療を行うことが大切です。

低血圧症の原因は?

本態性低血圧

低血圧症を発症する主な原因の一つが「本態性低血圧」です。病気などが原因ではなく、遺伝や体質などが原因で低血圧症を発症する場合を意味する症状です。そして、低血圧症になる原因の大半は遺伝や体質による影響です。そのため、主に家族や親戚などに低血圧症の方がいた場合や、虚弱体質の場合などに低血圧症を発症します。

症候性低血圧

そして、病気や薬剤の使用などが原因で発症する低血圧症を「症候性低血圧(二次性低血圧)」と呼びます。この場合は、低血圧症を引き起こしている原因である疾患を取り除くことで、低血圧症の症状を改善できます。

起立性低血圧

また、これらの症状と並んで多い3つ目の低血圧症を発症する原因が「起立性低血圧」です。長時間座っている状態から急に立ち上がった時に体内で血圧の調整がうまく行われず、脳の血液量が低下することが原因で発症します。そして、この症状はいつも低血圧症を発症しない方でも発症する場合があります。また、起立性低血圧を発症する原因の1つとして自律神経の影響が挙げられます。自律神経と低血圧症には深い繋がりがあり、自律神経の乱れが原因で交感神経のスイッチが入らず、副交感神経優位の状態が続いた場合に低血圧症が現れる場合があります。

低血圧症の症状は?

低血圧症の症状は、主な原因である「本態性低血圧」「症候性低血圧(二次性低血圧)」「起立性低血圧」でそれぞれ異なります。そして、遺伝や体質などが原因で低血圧症を発症する「本態性低血圧」の場合は、主に目眩や立ちくらみに頭痛、疲労感や倦怠感などの全身症状から不安感まで、幅広い症状が現れます。しかし症状を感じない場合もあり、また高血圧のように症状が進行して健康状態に深刻な悪影響を及ぼすことはありません。

また、「症候性低血圧」の場合は、低血圧症を引き起こす原因疾患ごとに現れる症状に違いがあります。薬物中毒や心臓疾患、脱水症や敗血症に出血などが原因で低血圧症を発症した場合は、血圧低下が急激に進行する場合があります。そのため、意識障害や四肢の痺れ、ショック症状などの深刻な症状が現れる場合があります。そして、内分泌系の疾患や神経疾患などが原因で低血圧症を発症した場合は、目眩や倦怠感、立ちくらみなどの症状が現れます。さらに身体の血液循環が正常に行われないことが原因で、内蔵に何らかの問題が発生する場合もあります。そして「起立性低血圧」の場合は、目眩や身体のふらつき、視力障害や錯乱などの症状が現れます。

食生活を改善しよう!

低血圧症の対策で大切なことの1つが、食生活の改善です。各種ビタミンやミネラル、タンパク質などの栄養分をバランスよく摂取することが大切ですが、特に低血圧症の方が摂取する必要のある栄養分が「塩分」です。塩分には血管を収縮させる作用があるため、摂取することで血圧を上昇させる効果が得られます。そのため、厚生労働省が推奨する1日の塩分摂取量は男性が8.0g未満で女性は7.0g未満ですが、低血圧症の方はこの推奨量に2〜3gを加えた量の塩分摂取を心がけましょう。また、アルコールには血管を広げて血圧を下げる作用があるため、低血圧症の方は過度なアルコールの摂取を控えることが大切です。

そして、低血圧症を改善するためには規則正しい生活を送ることも大切です。しっかりと1日に3回の食事をとり、ジョギングやウォーキングなどの適度な運動を行うことで身体の血行を良くして低血圧症を改善できます。そして、現代は身体を洗うときにシャワーだけで済ませる方が少なくありませんが、しっかりと湯船に浸かって身体を温めることで血行が良くなるため、低血圧症を改善する効果が得られます。また、熱湯に短時間だけ浸かる場合よりも、ぬるいお湯に20分以上浸かる場合の方がより身体を温める効果が得られます。

低血圧の治療方法は?

低血圧症は軽度の場合は食生活の改善や規則正しい生活を送るなどの対策で症状を改善できますが、症状が重くて日常生活に支障をきたす場合などは専門医の診断を受けて薬物療法を行う必要があります。また、低血圧症の治療を行う場合は「症候性低血圧症」の有無を調べることが大切です。「症候性低血圧症」が発覚した場合は、低血圧症の治療よりも先に原因疾患の治療を行う必要があります。

そして原因疾患の無い「本態性低血圧症」や「起立性低血圧」の場合は、「昇圧剤」や「副腎ホルモン剤」などを使った薬物療法で治療を行います。「昇圧剤」は心臓からの血液量を増やす作用や血管を収縮させる作用の片方、あるいは両方を使って血圧を上げる薬です。「起立性低血圧」の場合は血管を収縮させる薬を投与することで立ちくらみなどの症状を予防できます。また、「副腎皮質ホルモン剤」は血圧低下を防ぐ効果を発揮します。また、漢方薬を用いた体質改善によって低血圧症の治療が行われる場合もあります。主に体力を強化する作用を持った帰脾錠(きひじょう)や十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)、冷え性改善に役立つ参茸補血丸(さんじょうほけつがん)や海馬補腎丸(かいまほじんがん)などが使用されます。