注意:この記事は医師による監修を受けておりません。ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用ください。

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卵巣嚢腫とは?

卵巣に腫瘍ができてしまう病気で、良性の腫瘍ができることを総称して卵巣嚢腫といいます。腫瘍と聞けば、「がん」を思い浮かべてしまいますが、卵巣は比較的腫瘍ができやすい器官でもあり、できる腫瘍の90%は良性のものです。腫瘍が悪性のものであった場合は、卵巣がんになります。

卵巣にできる腫瘍の中でも、触ると柔らかく、分泌物などがたまっている袋状のものと、触ると硬く細胞が増殖したようなものと2種類あります。柔らかいものが良性の腫瘍で、硬ければ悪性腫瘍、つまりがんである可能性が高くなるものです。卵巣嚢腫は、同じ袋状のものでも、中に入っている分泌物によってその種類が分類されます。

  • 漿液性嚢腫
  • 粘液性嚢腫
  • 皮様性嚢腫
  • チョコレート嚢胞

の4種類に分類され、中でも発症の頻度が高いのがチョコレート嚢胞です。良性の腫瘍でも、大きくなるようであれば手術で取り除いたりします。自分ではなかなか気づけず、子宮がん検診などの内診で、卵巣の大きさや腫れ、硬さなどを確認することで指摘されたりします。卵巣嚢腫は、更年期を過ぎてからできやすい傾向にあると言われますが、近年においては、若い人にも多く見られるようになってきています。

チョコレート嚢胞とは?

子宮内膜症が原因で発症されるといわれている、「チョコレート嚢胞」以外の腫瘍ができる原因は不明です。チョコレート嚢胞の原因であろうとされる、子宮内膜症さえも、発生する原因は不明と言われ、不透明なところが多いものです。卵巣は、他の臓器に比べても細胞分裂が激しいことから、何かしら異常が発生しやすい器官でもあるのです。腫瘍ができやすいのも、そのためだと言われます。

そんな中でも、生活習慣や、ストレスが原因であると考えられることもあります。毎月起こる月経による影響も大きいところであり、ホルモンバランスの崩れや、自律神経の乱れが原因となっている可能性もあるのです。

また、近年では初潮を迎える年齢も年々若年化しており、逆に閉経は遅くなる傾向にあることから、女性の一生における月経回数も増加しつつあります。にも関わらず、女性の社会進出といった社会情勢から、女性が一生のうちで妊娠や出産を経験する回数は減少する一方です。そのような女性のライフスタイルの大きな変化も、卵巣嚢腫を引き起こす原因の1つとなっていることが考えられるのです。

卵巣嚢腫の特徴って?

卵巣嚢腫は、症状がほとんどないことが特徴の1つでもあります。ほとんどの人が、無症状であることから腫瘍に気づかず、にぎりこぶし大ほどの大きさになってから触れることで、気づいたりします。

また、下腹部が大きく膨らんでくることで下着や衣類のサイズが合わなくなり、心配になり受診する人もいます。痛みもほとんどないことから、がん検診や、妊娠時の検査などで指摘されて気づく人が多いほどです。腫瘍が肥大するにつれ、月経時に強い痛みを感じたり、月経時以外にも腰痛や腹痛を起こしたりすることがあります。腫瘍が膀胱や、腸を圧迫するほど肥大してくると、頻尿や便秘といった、子宮や卵巣とは関係のない臓器で起こる異常な症状が現れたりします。

また腫瘍が大きくなることで、卵巣の根元がねじれる「茎捻転」を起こすと、突然激しい痛みを感じ、痛みの余り嘔吐したりすることもあります。ねじれてしまった部分から先の細胞が壊死してしまうと、緊急手術をすることになるのです。

どのような治療をする?

できている腫瘍の大きさから、治療方法を判断することとなります。腫瘍が小さく2〜3p程度であれば、まずは定期健診で経過を観察することになります。それ以上の大きさになってくると、根元がねじれる茎捻転を起こす可能性が高くなることからも、手術して切除することが多くなります。

卵巣嚢腫は、放置すると不妊の原因ともなることから、妊娠を希望する女性ならばなおさら手術で取り除くことになります。近年では、「腹腔鏡手術」と呼ばれ、大きくお腹を開腹せずとも内視鏡で手術を行うことが可能となってきました。腹部に小さな穴を開け、そこから内視鏡を入れ、卵巣嚢腫だけを小さく取り除く手術方法です。

また、卵巣嚢腫だけを小さく取り除く腹腔鏡手術で対応するのか、卵巣をそのまま摘出してしまう開腹手術を行うかは、腫瘍の大きさや患者の年齢などによって、医師と相談の上で決定することとなります。これから妊娠を希望する比較的若い女性に対しては、できるだけ卵巣は残し、腫瘍だけを切り除く腹腔鏡手術が多いようです。

予防方法はあるの?

卵巣嚢腫は自覚症状が乏しいことから、発見が難しい病気でもあります。腫瘍が大きくなってから気づくと、茎捻転などを発症していることが多く、激しい痛みに襲われることになります。そうならないためにも、できるだけ早く腫瘍の存在に気づくことが大事です。自分では見える器官ではないことから、定期検診だけが発見のきっかけと言わざるを得ません。定期的に検診を受診し、異常に早期に気づける心構えをしておきましょう。不正出血などの異常や、下腹部の痛み、異常な膨らみや、しこりなどに気づいたら放置せず、一刻も早く医療機関を受診することが大事です。

予防対策としては、日常生活の生活習慣に気を付けることです。定期的に正常な月経を迎えられるよう、食生活や生活のリズムを整えるようにしましょう。睡眠不足やストレスは、自律神経の乱れを招きます。交感神経や副交感神経の働きがスムーズにいかなくなると、月経不順や月経異常などのトラブルも多くなってくるのです。日常の生活習慣をしっかり見直すことが、卵巣嚢腫を予防するための第1歩となるのです。