注意:この記事は医師による監修を受けておりません。ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用ください。

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良性発作性頭位めまい症とは?

良性発作性頭位めまい症とは、耳の異常が原因で発生するめまいの中でも、とくに発症する頻度の高い症状です。ベッドから身体を起こしたり寝返りをうった時や、着席中に急に振り向いた時、または高い場所にあるものを取ろうと上を向いた時などに頭を動かすと、発作的に回転性のはげしいめまいが起きます。また、吐き気や嘔吐などの症状を伴う場合もあります。同じように回転性のめまいが起きる「メニエール病」と勘違いされやすい病気ですが、良性発作性頭位めまい症の場合はメニエール病と違って、難聴や耳鳴りといった聴覚の異常は起こらないという特徴があります。

そして、めまいの症状は一過性のものでありそれほど長続きはせず、長くても2分から3分ほど、短い場合にはほんの数秒ほどで症状が治まります。また、良性発作性頭位めまい症は再発率が高く、何度も症状を繰り返すことが特徴です。しかし、病名に「良性」とあることからも分かるように、命に関わる病気ではありません。また、良性発作性頭位めまい症は中高年の方々が発症する場合が多い病気で、とくに中高年の女性の間に多くみられる症状です。

原因はなに!?

良性発作性頭位めまい症を発症する主な原因の1つが生活習慣です。耳の奥には炭酸カルシウムでできた「卵形嚢(らんけいのう)」と「球形嚢(きゅうけいのう)」という2つのカルシウム粒子により構成された、「耳石器(じせきき)」と呼ばれる器官があります。そして、三半規管が身体の動きを司ることにたいして、耳石器は頭や身体などの傾き具合を感知する役割を果たしています。人間が垂直に立っている状態では球形嚢は垂直に、卵形嚢は水平になっていますが、頭を傾けると卵形嚢の中にある2つの耳石にずれが発生して、そのずれを隣接している感覚細胞が感知して、電気信号に変換して脳に知らせます。それによって身体が重力にたいしてどう傾いているのか認識できます。

しかし、この耳石が剥がれ落ちて三半規管に迷い込むと、めまいや吐き気といった症状を発症します。そして、低い枕で睡眠をとったり、横になって長時間テレビなどを見ていた場合などに、三半規管の位置が下がって耳石が三半規管に侵入しやすくなるため、良性発作性頭位めまい症を発症しやすくなります。また、ストレスや寝不足が原因の疲労などによって自律神経が乱れた場合も発症しやすくなります。

カルシウム不足が原因になるかも?

体内のカルシウム不足によって耳石が剥がれ落ちることが原因で、良性発作性頭位めまい症を発症する場合があります。良性発作性頭位めまい症は耳石器から剥がれ落ちた耳石が三半規管に侵入して、身体のバランス感覚を乱すことが原因で発症する症状です。そして、良性発作性頭位めまい症の患者数は40歳から50歳以降になると急増して、とくに更年期以降の女性患者はそれ以外の患者と較べて、3倍から4倍もの数にのぼるといわれています。

そのため、良性発作性頭位めまい症を引き起こす原因である耳石の剥離と、カルシウム不足には深い関係があると考えられています。更年期を過ぎた女性の体内では女性ホルモンの分泌量が低下してカルシウムが不足しやすくなりますが、耳石は炭酸カルシウムでできているため、カルシウム不足が耳石の剥離を引き起こす原因に繋がると考えられています。そのため、骨粗しょう症の患者が良性発作性頭位めまい症も抱えている場合が多く、骨粗しょう症の治療薬を使用することで症状が改善されたなど、2つの症状に繋がりがあると考えられています。

大きな衝撃も原因になるかも?!

スポーツや交通事故などによって、身体に大きな衝撃を受けた場合も良性発作性頭位めまい症を発症する可能性があります。良性発作性頭位めまい症は、本来は耳石器の中に収まっているはずの耳石が剥がれ落ちて三半規管の中に入り込んでしまうことで発症します。身体を動かすたびに三半規管の中で耳石がころころと転がってしまうことで三半規管の中を満たしているリンパ液の流れが乱れてしまい、身体を動かしていない状態でもリンパ液の揺れが止まらないために身体が動き続けている脳が錯覚することでめまいなどの症状を発症します。

そして、スポーツや交通事故などによって身体に受ける大きな衝撃は、耳石器から耳石が剥がれ落ちる主な原因の1つなんです。とくに頭部に受ける大きな衝撃が良性発作性頭位めまい症を発症に繋がりやすいため、良性発作性頭位めまい症を発症した方がサッカーなどの頻繁に頭部に衝撃を受けることのあるスポーツを行っていた場合は、それが発症原因である可能性が高いといえます。

治療方法は?対処法は?

良性発作性頭位めまい症の多くは自然に回復します。症状を引き起こしている原因である剥離した耳石が、時間の経過によって溶けて無くなってしまうためです。また、めまいが起きやすい姿勢をわざと繰り返すことによって、耳石が崩れやすくなったり三半規管から出る場合があるため、より早く治療できます。ただし、他の病気が原因でめまいなどの症状が起きている場合もあるため、症状を自覚したら病院で受診することが大切です。そして、病院ではフレンツェル眼鏡や小型のCCDカメラなどを使って眼の動きを確認しながら頭を前後左右に動かして、耳石を三半規管の外に出すなどの頭位変換療法などが行われます。

そして、良性発作性頭位めまいを直接治療するものではありませんが、めまいや吐き気などの症状を緩和する薬が処方される場合もあります。また、頭の位置が低い枕を使用していることや、長時間おなじ姿勢をとっていることが症状を引き起こしている場合があるため、枕を変えて頭の位置を高くしたり、定期的に身体を動かすことを心がけることにより再発を防止できます。また、カルシウム不足が良性発作性頭位めまい症を引き起こしている場合もあるため、食生活を改善して十分な量のカルシウムを摂取することが大切です。