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スキルス胃がんとは?

スキルス胃がんとは胃がんの一種ですが、胃がんの種類の中でも最も悪性度が高いとされています。医療が発達した現代において、胃がんは早期発見および早期治療ができるようになってきましたが、スキルス胃がんの厄介なところは、発見が特に難しいとされていることです。

スキルスには「硬い」という意味があります。

未分化型腺がんのうち小さなびらんや陥凹などわずかな粘膜変化しかおこさず胃壁の全体にがんの浸潤を認め、胃壁全体が硬くなる特殊な胃がんをスキルス胃がん(スキルス胃癌)と呼びます。胃が硬くなるため硬がんとも呼ばれます。 引用元:http://ksiin.jp

スキルス胃がんは進行すると、胃が縮み上がるような形になり、胃全体が硬くなって内腔も狭くなっていきます。スキルス胃がん(スキルス胃癌)は進行がとても速くまた、胃粘膜の表面が盛り上がったり、潰瘍を作るなどの変化に乏しいため見た目では非常に分かりにくく見つかったときには進行しているケースが多く、手術ができない患者さんは50%程度にもなる胃がんの中で最も悪性度の高いがんです。

発見が遅れる原因として、普通の胃がんとの発症過程に違いがあります。胃がんは胃の粘膜から出血し、その際便が黒くなる場合がほとんどです。したがって胃カメラを飲むことによって早期発見が可能となります。そこで適切な治療を行えば高い確率で完治できるのが胃がんの特徴です。それに対してスキルス胃がんは普通の胃がんと違い出血がないため、静かに進行していきます。なおかつスキルス胃がん特有の自覚症状がないため、早期発見が困難とされています。

そもそも胃がんとは?

胃がんの原因は多因性ですが、ヘリコバクター-ピロリが重要な役割を果たしていると言われています。胃がんは胃にできる悪性腫瘍で日本では肺がんに次いで死亡率の高いがんだといわれており、男女比は2対1と男性に多く、男女とも60代で一番多く発症しているといわれています。

中でも日本は、世界的にみても早期発見の技術や手術成績が優れており、近年の有効な抗がん薬の開発もり、胃がんの治癒率は明らかに改善しているといわれ、進行しているがんでも、末期がんではなく治癒できるといわれています。

胃がんの症状としては、一般には上腹部痛、腹部膨満感、食欲不振をきっかけに、X線造影検査や内視鏡検査で偶然に発見されるといわれています。進行がんになると体重の減少や消化管の出血などがみられるといわれています。

また、胃がんは、食生活の改善により予防できる余地があり、バランスの取れた食生活を心がけることが大切だとも考えられています。

引用元:http://merckmanual.jp

スキルス胃がんの原因

胃がんの説明で紹介しましたように、胃がんはピロリ菌が主な原因と言われています。通常の分化型腺がんである胃がんでは、ピロリ菌感染により胃潰瘍や胃がんになると考えらえれていますが、しかしスキルス胃がんは、分化型腺がんではなく、胃の固有粘膜から発生することが知られています。

ピロリ菌以外の原因として、エストロゲンの関与や、このがんに特有な遺伝子変化も徐々に解明されてはいますが、詳しい発がんの過程はわかっていません。ただし、現在では、ピロリの関与は、通常の分化型腺がんよりは低いものの、関連はあると考えられています。

スキルス胃がんの原因も、基本的には、胃がんの原因と同じものが原因となると考えられています。慢性胃炎、ピロリ菌感染による萎縮性胃炎、塩分の多い食事、喫煙、飲酒などが、すべて原因であるといわれています。また、スキルス胃がんは、遺伝性による発症の多い胃がんだといわれています。がんが遺伝するというのは、遺伝子の類似性の問題に加え、家族では生活習慣が似ることもあげられています。

引用元:http://merckmanual.jp

スキルス胃がんの特徴

30〜40代の女性に多い

スキルス胃がんの特徴としては、胃がん全体の10%を占めており、日本人に多いです。30代〜40代の女性に多く、男女比は2対3くらいだと言われています。他のがんは基本的に年齢を重ねるごとに発症率も高くなることがほとんどで、普通の胃がんも例外ではありません。さらに普通の胃がんは男性のほうが発症する可能性が高いという特徴と比較しても、スキルス胃がんは普通の胃がんや他のがんと違いがあることがわかります。

発見されにくい

スキルス胃がんは一般的に、発見されにくい胃がんだといわれています。進行したスキルス胃がんであれば、胃X線造影検査や内視鏡検査ですぐに発見され、診断がしやすい方だといわれています。

しかし、比較的初期で胃の一部にのみ病変が限られている場合のスキルス胃がんは、胃の粘膜面の変化が乏しく、内視鏡下の生検による診断が、偽陰性になる可能性もあるため注意が必要だと考えられています。若い女性で胃の症状が続く場合は、繰り返し検査を受けることや、セカンドオピニオンを診断することも重要だと考えられています。

また、先にも説明しましたが、スキルス胃がんは胃の壁にがん細胞が、広がっていくのではなくて胃の粘膜の下に、がん細胞が広がっていくと考えられており、普通の胃がんの初期症状のような出血もなく静かに進行しており、胃痛もあまりないため発見が遅れているといわれています。

引用元:http://merckmanual.jp

進行がはやい

スキルス胃がんは、進行がとても早く、胃粘膜の表面が盛り上がったり、潰瘍を作るなどの変化に乏しいため、見た目では非常に分かりにくく見つかったときには進行しているケースが多く、手術ができない患者さんは50%程度にもなり、胃がんの中で最も悪性度の高いがんだと考えられているのです。

転移しやすい

発見されにくく、進行がはやいうえに、転移までしやすいというのがスキルス胃がんの特徴です。先程紹介したように、スキルス胃がんは、未分化型腺がんであり、リンパ節や肝臓、腹膜などに転移することがある進行の早い胃がんだといわれています。

腹膜播種をしやすいという特徴があるのです。腹膜播種とは胃壁全体にがんが浸潤し、胃壁を貫いて外に出てしまい、腹腔内に散らばって腹膜でがんが増殖することをいいます。通常の転移は血液やリンパ液の中にがん細胞が入り込み他の臓器に拡がっていきますが、播種性転移では胃壁の外にこぼれたがん細胞が腹膜に小さな種を撒いたように拡がっていくと考えられています。

もし腹膜播種や多臓器への転移がなければ、根治的な外科手術ができる可能性もありますが、腹膜播種が認められる症例では手術切除はほぼ難しいのが現状というかなり厄介な病気です。

スキルス胃がんの症状

胸やけ

スキルス胃がんになると、通常の胃がんのように、胸やけを感じる人が多いそうです。しかし、胸やけは日常生活の中でも、たまに飲み過ぎ、食べ過ぎ、によってなることもあるものですので、見落としやすい症状となってしまいます。食事のたびに胸やけを起こす、そんなに暴飲暴食をしていないのに胸やけになる、という症状がある人は、胃潰瘍、胃がんだけでなく、スキルス胃がんも疑ってみる必要があります。

また、スキルス胃がんになることで胃液が多く出すぎてしまい胃粘膜とのバランスが崩れることで、胸やけを感じることもあるようです。胃液が食道に逆流しておこるのが胸やけですので、胃液が出過ぎていてもおこりえます。

消化不良

スキルス胃がんになると、胃もたれや胃粘膜の炎症により消化不良になる人も多いといわれています。この症状も胸やけのときと、同様に胃潰瘍の初期症状と同じであるために見過ごされやすいと考えられています。さらに症状が進み、胃液が多く出すぎで胃粘膜とのバランスが崩れると、消化機能に異常が生じ、さらに消化不良が深刻化してしまいます。

食欲不振

スキルス胃がんになると、他の胃がん同様に胃液が多くですぎて、胃粘膜の機能がおかしくなり、食欲不振になる可能性があるといわれています。その理由としては、ただ単に胃粘膜の機能低下により、胃の処理能力が低下している場合と、胃酸の逆流などの不快感で食欲不振に陥っている場合などが考えられます。また当然、食欲不振により体重が減少することがあると考えられています。

胃の痛み

スキルス胃がんになると、特に上腹部の「みぞおち」に痛みを感じるといわれています。食後に痛み出し、あまり食事を取りすぎると長時間痛みが続くといわれています。逆に空腹時に腹痛が起こり食事をすると治まる場合もあるといわれています。

また、腹痛が強ければ強いほど、状態が悪いわけではなく、胃潰瘍と同様にかかっていても全く痛みを感じない人もいれば、気が付かないまま、スキルス胃がんが悪化している人もいるといわれています。スキルス胃がんが進行して、胃の症状が相当ダメージを帯びてから、初めて激痛が起こる人もいるようです。そのため、少しでも胃痛がある場合には、なるべく早い段階で医師の診察を受けることが望ましいでしょう。

吐血

スキルス胃がんの症状が重くなると、吐血の症状がでると考えられています。スキルス胃がんになると胃は、胃酸によってどす黒くなった血を吐血する可能性があるといわれており、出血時には、冷や汗をかいたり、脈拍が乱れたり、血圧低下や激痛を伴うこともあると考えられています。

出血性胃潰瘍のように炎症の起きている場所の血管が破れたために吐血するようになるといわれています。また、同様に下血もおきる可能性があるといわれています。便に血が混じる場合に、どす黒い便がでるといわれています。

同じく出血性胃潰瘍のように、どす黒い便がでる可能性が高くなるといわれています。ただし、下血の場合には、スキルス胃がんに気づかない患者も多く、吐血するまで自分の異変に気づかない人もいるといわれています。また、下血は、大腸がんの症状でも生じるため下血する場合には、医師の診断を受けることが望ましいでしょう。

吐き気、嘔吐

スキルス胃がんになり、胃液が多くでてくると胸やけなどとともに酸っぱいゲップがでてきて、吐き気・嘔吐につながるといわれています。これは胃潰瘍の症状と同じであり、吐き気・嘔吐は突然襲ってくる場合もあり、食後などに胃がむかむかしてる時は、危ない兆候だと考えられています。

以上のように、胸やけ、消化不良など最初は気にもとめないような症状からスキルス胃がんは始まっていきますので、少しでも症状が出たら、放置せず病院を受診するようにしましょう。

引用元:http://merckmanual.jp

胃がんの進行度

ステージ1

ステージ1になる前には、異常な細胞は胃壁の粘膜層の内側にのみ認められ、これらの異常な細胞はがんになり、近くの正常な組織に広がる可能性がある状態だといわれています。そして、ステージ1になると、すでにがんが形成されており、2タイプに分けられます。

がんがどこまで拡がったかによって分類され、すでに胃壁の粘膜層全体に拡がっている場合と、完全に胃壁の粘膜層全体に拡がっている場合に分けられます。ステージ1では、さらに腫瘍付近の6ヶ所までのリンパ節にも認められ、胃壁の筋肉層にまで拡がっていると考えられます。通常の胃がんの場合、ステージ1では5年生存率は、約90パーセントとかなり高い数値となっています。

引用元:http://merckmanual.jp

ステージ2

ステージ2に入ると、がんは完全に胃壁の粘膜層全体に拡がっています。さらに腫瘍付近の7~15ヶ所のリンパ節にも認められ、がんは胃壁の筋肉層にまで拡がっており、さらに腫瘍付近の6ヶ所までのリンパ節にも認められると考えられています。通常の胃がんの場合、ステージ2では5年生存率は、約63パーセントとなりステージ1と比べるとだいぶ減っています

引用元:http://merckmanual.jp

ステージ3

ステージ3の胃がんは、がんがどこまで拡がっているのかによって、2タイプに分類されます。1つは、胃壁の筋肉層にまでがんが、拡がっており、さらに腫瘍付近の7~15ヶ所のリンパ節に認められ、胃壁の漿膜層までがんが、拡がっています。

そして、腫瘍付近の1~6ヶ所のリンパ節に認められ、胃に隣接した臓器まで拡がっていますが、リンパ節または体の他の部分までは拡がっていないレベルです。もう1つは、がんが胃壁の漿膜層にまで拡がっており、さらに腫瘍付近の7~15ヶ所のリンパ節に認められているレベルです。ステージ3では5年生存率は、40%まで落ちてきます。

引用元:http://merckmanual.jp

ステージ4

胃に隣接した臓器と1ヶ所以上のリンパ節まで拡がっており、15ヶ所以上のリンパ節まで拡がっています。ステージ4までくると5年生存率は、7%と非常に厳しい状態になると考えられています。ステージ4の胃がんは、既に遠隔転移した状態であるため、治療の選択肢も限られてしまい、もはや手術でがんをすべて取り除くことはできないため、抗がん剤による化学療法で少しでも腫瘍を小さくし、進行を抑えることしか基本的にはできないと考えられています。

引用元:http://merckmanual.jp

スキルス胃がんの検査方法

基本的にスキルス性胃がんの検査というものはありませんが、検査をする時には通常の胃がんなどの検査と同じ方法で調べていきます。

一般的な検査はバリウムを飲んで行う検査や内視鏡などを使った検査を行うのが普通ですが、スキルス性胃がんはこうした検査をしても見逃してしまう事がとても多い病気です。ですが検査を受けないよりも受けた方が断然良いというのは共通して言える事です。

最近では上部消化管内視鏡という方法を使って検査をする事が多くなっていて、この方法で検査をすると意外と発見しやすいという事もあって、今はこの方法が主流になっているのだと言います。実に多くの医療機関などでこの方法を採用しているようですね。

胃がんだけではなく癌というのは1年に数回検査を受けていても見逃してしまう事もある病気です。ある程度の年齢になったら毎年数回検査を受けても受けすぎという事はないので、定期的に検査を受ける事を強くお勧めします。

引用元:http://www.jun-koga.net

スキルス胃がんの治療方法

スキルス胃がんの標準的な治療方法はまだ確立されていないため、普通の胃がん治療と変わらず外科手術と抗がん剤治療が中心となります。つまり他の臓器に転移がなければ外科手術を行い、術後に再発・転移を防ぐために抗がん剤治療を行うという流れです。

ただしスキルス胃がんの進行度によっては、先に点滴や抗がん剤治療を行うこともあれば、手術が不可能なため抗がん剤治療のみを行う場合もあります。

またスキルス胃がんの手術は、腹膜播種の有無が大きなポイントだと言われています。もし腹膜播種などの転移が認められた場合は、手術でスキルス胃がんを完治させるのは困難であり、この場合も抗がん剤治療が選択されることとなります。

しかしたとえ転移などが認められず手術ができたとしても、がんを完全に除去できたと考えられる手術はわずか半数ほどしかないと言われています。医療が発達した現代においてもスキルス胃がんの5年生存率は10〜20%程度とされており、やはり早期発見および早期治療が重要であるといえます。

スキルス胃がんの予防法

スキルス胃がんはまだ解明されていないことも多くありますが、その原因は普通の胃がんと基本的に同じだと考えられています。つまり食生活の改善が、スキルス胃がんの予防法となるのです。

食生活の改善とは塩分の過剰摂取を控えるということです。理由として、塩分の過剰摂取により胃の中の塩分濃度が高まると、胃粘膜が傷つくため胃がんになってしまうという研究結果が出ているためです。実際日本と比較して胃がん患者数が少ない欧米やオセアニア地域では、塩分摂取量が日本より少ないことがわかっています。

さらにはアルコールやコーヒーなども胃粘膜を傷つける刺激物として考えられており、喫煙も胃粘膜の血流を低下させることがわかっています。

食生活を改善し、塩分や刺激物、たばこなどを節制することにより、単純な健康管理だけでなくスキルス胃がんの予防も一緒にしてみてはいかがでしょうか。

なおかつ定期的ながん検診も、スキルス胃がんの早期発見および早期治療に繋がる予防法といえるでしょう。確かに初期のスキルス胃がんは発見しにくいですが、検診のレベルが年々高くなっていることから、早期発見に繋がるかもしれません。先程もご説明した通りスキルス胃がん特有の自覚症状がほとんどないからこそ定期的ながん検診を行うことや、小さな自覚症状でも早めに病院で検査を受けることが望ましいでしょう。

スキルス胃がんの恐ろしい部分を多くご説明しましたが、早期に発見し治療を始めれば完治の可能性も高い病気です。そのためにはスキルス胃がんのことを理解し、普段も少しでもいいのでスキルス胃がんのことを意識して生活していきましょう。