注意:この記事は医師による監修を受けておりません。ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用ください。

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溶連菌とは

溶連菌とは正式には溶血性連鎖球菌と呼ばれており、この細菌は健康な人でも5〜20%の割合で持っていると言われています。つまり5〜20人に1人はこの細菌を持っているということになります。

溶連菌感染症の特徴として、感染力が強いため人から人にうつりやすいこと、潜伏期間があるので知らず知らずのうちにうつしてしまう可能性があることが挙げられます。なのでくしゃみや咳などにより細菌が広まる、飛沫感染によって学校や会社、家の中で流行するケースが少なくありません。また流行しやすい季節は12月〜3月にかけてと言われています。またこの病気の最大の特徴として重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、完治させる必要があるということです。

なおこの溶連菌感染症は特に幼少期から青年期までの子供が感染しやすい病気です。ただし大人は安心していいかといわれれば決してそういうわけではありません。免疫力が低下していたり、家族や友人などでこの病気に感染した人と密に接した大人にも感染することは十分あり得ます。基本的にどの年齢層の人でも発症する危険性がありますので、感染しないような手洗いうがい、マスク着用などの予防策と、感染してしまった場合は他に広げないためのマスク着用や早期治療などの対策が重要です。

溶連菌感染症の症状

溶連菌感染症の症状にまず高熱が挙げられます。2日〜5日といわれている潜伏期間の後に38〜39度の高熱が出ますが、その際に風邪のような鼻水や咳といった症状が出ないのが 特徴です。またこの病気でよく見受けられるのがのどの炎症、痛み、腫れです。のどが赤く腫れあがり、痛みが出てきます。さらには口の中に赤い斑点ができる点状紅斑や舌に赤いぶつぶつができてイチゴのように見えるイチゴ舌が出てくることがあります。その他にも全身に赤い発疹ができてかゆみが出てくる場合があります。

ただしこれらの症状はあくまで溶連菌感染症の軽度の症状であって、時にはこれらよりも重篤な症状が出るケースがあります。それが菌血症です。菌血症とは血液内に細菌が侵入した状態のことを指します。本来健康な人なら血液内に細菌が入ってもすぐに排除されますが、子供や高齢者など免疫力が弱まっている方は細菌の排除がうまくできず、細菌が入り込んでしまうことがあります。それにより敗血症を引き起こす可能性があるのです。敗血症では発熱や血圧の低下、さらに症状が進めば敗血症性ショックとなり全身に血液が行きわたらなくなってしまいます。それにより臓器の機能不全や呼吸困難、意識障害を引き起こし、最悪の場合命を落とす可能性のある状態になってしまうのです。

また溶連菌感染症の重篤な症状の二つ目として劇症型連鎖球菌感染症が挙げられます。これは軟部組織に溶連菌が感染することで多臓器不全を引き起こしたり筋肉などの組織を壊死させる可能性があり、この症状が発症すると死亡率はなんと30%にまでなってしまうと言われています。ただしこれは傷口から溶連菌が侵入することで発症するものであり、通常の溶連菌感染症を起こしても劇症型連鎖球菌感染症に移行することはありません。

溶連菌感染症の合併症

溶連菌感染症の恐ろしいところはこれらの症状だけでなく、溶連菌に対する自身の免疫反応によって引き起こされる合併症があるということです。その合併症を下記にてご説明します。

急性糸球体腎炎

この病気は溶連菌感染症の発症から10日前後に出てくる腎臓の病気で、血尿、蛋白尿、むくみ、高血圧、乏尿、呼吸困難などの症状が挙げられます。発症した場合は塩分や水分の制限を行う食事制限や、投薬、点滴治療が行われます。適切な治療で完治することが多い病気ですが、腎臓の病気のため半年ほどの通院が必要となる場合が多いです。

リウマチ熱

この病気は溶連菌感染症から1週間〜1ヶ月後に発症する病気で、発熱、心炎、舞踏病、発疹などの症状が挙げられます。またリウマチ熱の特徴の一つとして弁膜症と呼ばれる後遺症の可能性があるということです。弁膜症とは心臓の弁が異常な状態なることで、将来的に心不全の原因になる可能性があります。症状が進行すれば突然死の原因や手術が必要になることもあります。リウマチ熱患者の約30%が弁膜症になると言われているため、細心の注意が必要です。リウマチ熱の二つ目の特徴として、再発しやすく、さらには発症してから3年間〜5年間は注意が必要という点です。再発すればするほど弁膜症の危険性が高まるため、治療と再発防止のための抗生剤を長期間使用する必要があります。

アレルギー性紫斑病

この病気は別名ヘノッホ・シェーンライン紫斑病とも呼ばれており、血管病の一つとして位置付けられています。溶連菌感染症から1〜2週間後に発症し、紫斑、関節炎、腹痛、腎炎などの症状が挙げられます。またこの病気に有効な治療法はないため安静にするしか対策はないのですが、ほとんどの場合は数週間で完治します。

溶連菌感染症と間違えやすい病気

リンゴ病

正式名称、伝染性紅斑と呼ばれるこの病気は、頬が赤くなりリンゴに見えること状態からリンゴ病と言われています。発症する可能性の高い年齢は溶連菌感染症と同じく学童期の子供であることも、間違えやすいポイントの一つです。また発熱や皮疹などの症状が出てくることも溶連菌感染症と類似しています。溶連菌感染症との違いとしてリンゴ病は高熱が出ることが少なく微熱程度が多いということです。ただしこれはあくまで目安ですので、たまに高熱が出ることもあるため溶連菌感染症との区別が大変難しい病気となっています。治療法は特になく、安静にしていれば自然治癒する病気です。

川崎病

この病気は全身の血管に炎症が起きる病気で、発熱、イチゴ舌、皮疹など溶連菌感染症と類似した症状が出てきます。また1歳〜8歳までの子供に発症する可能性が高いことも類似点です。この病気は発症後すぐに治療を始めた場合、投薬のみで数日で症状が改善する病気ですが、発症から2か月までは合併症の危険性があるため投薬治療を続ける必要があります。溶連菌感染症との違いとして、川崎病は目や唇が赤くなることが挙げられます。また川崎病は溶連菌感染症と違い発熱が5日以上続く場合が多いため、熱が下がらない場合は川崎病を疑った方がいいかもしれません。

溶連菌感染症の治療法

溶連菌感染症の主な治療方法は薬物治療となります。抗生剤を飲むことで数日で熱は下がりのどの痛みも改善します。また溶連菌感染症を発症している際はのどに腫れや痛みがあるため、飲食する際に非常に苦労します。しかし十分な水分や栄養を取らなければ治療期間にも影響しますので、飲みこみやすいゼリーやおかゆを食べ、刺激物はなるべく避け、水分をとる心がけが必要です。

また先程ご説明した通りこの病気は重篤な合併症を引き起こす可能性がありますので、完治するまで気を抜いていけません。抗生剤を投与すれば比較的早い段階で症状が治まるため、薬を飲むのをやめたくなるところですが、必ず処方された期間は薬を飲み続けましょう。 さらにこの病気は完治しても再発する可能性があるため、溶連菌感染症を発症している方に接触しないよう予防することも重要です。飛沫感染、接触感染によって感染する可能性もありますので、手洗いうがいを徹底する、マスクを着用するなどの予防策を実施し、再発しないような心がけが必要です。

溶連菌感染症の再発

溶連菌感染症は、繰り返しかかることもあるようです。もちろん、大人になってもかかります。溶連菌感染症の症状としては咳や鼻水がありませんが、日常生活の中で出る咳やくしゃみなどによって近くの人に感染(飛沫感染)してしまうことがあります。

また、溶連菌に汚染された食品・食器が原因のこともあります。感染した人のくしゃみや咳がかかった食べ物を食べたり、食器を使うことにより感染します。感染した家族がいたら注意しましょう。