注意:この記事は医師による監修を受けておりません。ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用ください。

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甲状腺機能低下症ってどんな病気?

甲状腺とは喉ぼとけの下あたりに位置する器官であり、そこから分泌される甲状腺ホルモンは新陳代謝を活発にする役割があります。具体的には脈拍数や体温、自律神経の調整や栄養素をエネルギーに変換する、子供の成長や発達を支える働きをしているのです。この甲状腺ホルモンの分泌が低下して、様々な症状が起こってしまう病気のことを甲状腺機能低下症と呼びます。

甲状腺機能低下症は一般的に高齢者がよくかかる病気で、特に女性がかかりやすい病気です。甲状腺機能低下症の女性患者数は男性の3.7〜12.5倍多いと言われており、圧倒的な男女比となっています。女性に甲状腺の異常が多い理由ははっきりと解明されていませんが、出産をきっかけに甲状腺機能低下症を発症するケースが多いようです。

その理由として、出産により免疫を抑えるホルモンを分泌している胎盤がなくなるため、ホルモンバランスが急激に変化して甲状腺にストレスがかかるからではないかといわれています。

甲状腺機能低下症の分類

甲状腺機能低下症は原因によって分類される病気です。その分類ごとの特徴を下記にてご説明します。

原発性

甲状腺機能低下症の中でよく見られる原発性甲状腺機能低下症の主な原因として挙げられるのは、慢性甲状腺炎(橋本病)、先天性、ヨウ素の過剰あるいは欠乏が挙げられます。ただしヨウ素欠乏による甲状腺機能低下症は日本ではあまり例がなく、そのほとんどが外国で確認されたケースになります。

二次性

二次性甲状腺機能低下症は甲状腺刺激ホルモンの不足が原因で、脳の下垂体に障害があり甲状腺刺激ホルモンの分泌が少ないことによって甲状腺ホルモンの分泌が少なくなる病気のことを指します。

三次性

三次性甲状腺機能低下症は脳の視床下部から分泌される甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンが少なくなることが原因で発症する甲状腺機能低下症のことを指します。甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンとは、甲状腺ホルモンを刺激して分泌させる役割を持つ甲状腺刺激ホルモンを放出させるホルモンですので、このホルモンが少なくなるということは結果的に甲状腺ホルモンの分泌も減ってしまうことになるのです。

ホルモン不応性

これは先天性の病気で、血液の中に甲状腺ホルモンがあるにもかかわらず十分働かなくなることを指します。甲状腺ホルモンの効果が少ないため体がもっとたくさんの甲状腺ホルモンを作ってしまい、増えすぎてしまうという特徴があります。ホルモン不応性は非常にまれで、日本では100人ほどの患者が報告されている病気となります。

甲状腺機能低下症の原因

甲状腺機能低下症には、下記のような原因があるということが判明しています。

慢性甲状腺炎(橋本病)

甲状腺に慢性の炎症が発症している状態を慢性甲状腺炎といい、この病気を発見した医師の名前から橋本病と呼ばれることもあります。この慢性甲状腺炎は甲状腺の病気の中でも特に女性が発症する割合が高く、女性の割合は男性の約20〜30倍になるといわれています。慢性甲状腺炎病は細菌によって甲状腺が化膿して炎症を起こすのではなく、自己免疫が原因とされています。自己免疫とは本来外敵から自分の体を守る免疫が、逆に自分の体に反応する状態のことを指します。慢性甲状腺炎と診断されてもただ甲状腺が腫れているだけで甲状腺機能が正常であることがほとんどですが、炎症が進むと甲状腺の機能が低下することで甲状腺機能低下症を引き起こしてしまいます。

甲状腺摘出

甲状腺機能低下症は病気の治療により甲状腺ホルモンを作る機能が損なわれたり、手術により甲状腺を摘出することによって発症する場合があります。特に甲状腺機能亢進症や甲状腺がんの治療後に起こる可能性が高まるといわれています。

ヨウ素の欠乏あるいは過剰摂取

甲状腺機能低下症はヨウ素の欠乏や過剰摂取が原因で発症することもあります。特に海藻類はミネラルも豊富なため、美容やダイエットのためによく食べているという方はいらっしゃると思いますが、海藻類にはヨード(ヨウ素)が多く含まれているのです。健康のために食べている食材が原因で病気を発症しては元も子もありません。適度な量を採るよう心がけましょう。なお日本人成人のヨードの一日摂取上限値は3�といわれていますので参考にしてください。

甲状腺機能低下症の症状

それでは甲状腺機能低下症にはどのような症状があるのでしょうか。甲状腺の機能が停止することによって体には様々な悪影響が出てきますので下記にてご説明します。

全身がだるい、倦怠感

甲状腺ホルモンには栄養素をエネルギーに変換する役割がありますので、そのホルモンが少なくなってしまうと変換されるエネルギー量も減ってしまいます。それにより全身のだるさや倦怠感が出てくることがあります。

汗の減少、皮膚の乾燥

この病気の症状として、汗の減少や皮膚の乾燥が挙げられます。甲状腺ホルモンには新陳代謝を活発にする働きもあるため、甲状腺機能低下症になると新陳代謝が低下し、熱を作りづらくなって寒がりになってしまう可能性もあります。また夏でも熱さをあまり感じることがなく汗をかかなくなってしまいます。併せて皮膚が乾燥することが多いようです。

便秘、体重増加

甲状腺ホルモンが減少することによって消化器官の代謝が低下するため、便秘が引き起こされてしまいます。また新陳代謝も低下しているためカロリーの消費が減り、体重の増加に繋がります。

むくみ、声のかすれ

甲状腺機能低下症が原因でむくみが起こることもあります。この場合のむくみは圧迫してへこませても元に戻る特徴があります。またひどい場合は粘膜や喉頭がむくむことによって声のかすれを引き起こします。

甲状腺機能低下症の治療や対処法

最後に甲状腺機能低下症の主な治療法として投薬治療が挙げられます。甲状腺の機能低下は心臓や肝臓などの臓器に大きく影響を与えてしまうため、その状態が長時間続くようでしたら薬による治療が必要になるのです。

そして体内で分泌できない甲状腺ホルモンを補う目的で処方されるのが甲状腺ホルモン剤です。基本的に1日に1度服用することで、1〜2ヶ月で甲状腺ホルモンの数値が正常に戻るとされています。またこの甲状腺ホルモン剤の特徴として、成分が体内にある甲状腺ホルモンと同じため副作用がないという点です。胎児にとっても影響がありませんので、妊娠中でも安心して飲める薬となっていますので安心ですね。ただし急に服用すると心臓に負担がかかる可能性があるため、高齢者や心臓に病気のある方、または機能の低下が激しい人は少量から服用を始めることになります。

またこの病気の予防策として、ヨードを摂取しすぎないことが重要です。海藻などヨードを多く含む食材は過度な食べ過ぎに注意が必要です。なおうがい薬も大量にヨウ素を含んでいる可能性がありますので、甲状腺の働きが抑えられることがあります。うがい薬を頻繁に使用されている方は特に甲状腺機能低下症を意識して自覚症状がないかチェックしてみてください。

またむくみや全身のだるさ、倦怠感などの自覚症状がある場合は甲状腺機能低下症の疑いがありますので、早めに病院に行き診察してもらうことも重要な対処法です。